スコットランドとアメリカ間の絆は300年前、大勢のタータンチェックを着た人々がより良い暮らしを求めて大西洋を渡ったときからの繋がりである。それから積極的に祖先を辿ってやってくる西洋の従兄弟達は親族との絆を深め、観光業を発展してきた。面白い事に Seven Saturdays のジョナサン・ハスケルはケルト民族の血を引いているわけでも無く、移民してきた先祖の成功話もない。
その代わりハスケルは幼少の頃、神話の怪獣に惹かれスコットランドに夢中になる。『小学校の時「世界の国レポート」を作製する授業でスコットランドについてのレポートを書いたのを覚えている」と彼は言う。『当時はネス湖の怪獣について調べ、レポート内容を増やすためにイラストを書きたかっただけだけど、その後も好奇心はずっと続いた。』
彼のかつてのバンド、Angles Drake が解散しハリーウッド・ヒルズからエディンバラへの引っ越しは、一度頭をすっきりさせるためには好都合だった。歴史に包まれた町の情景や音に創作意欲を刺激され、彼は自身の中での聖域を見つけだした。エディンバラを『夢の場所』と語る。『何もせずただ歩き回って探検してただけだけど、勿論お酒を飲みながらね。そのうち又音楽にたずさわりたくなってきた。
最初はボーカルと歌詞だけで曲を書き始めた。でもお金が無くなってロサンゼルスに戻った時、又沈むような恐ろしさを感じた。以前と同じような独創性に欠けたくだらないバンドでロスのミュージックシーンに戻りたくなかった。』停滞を恐れてハスケルは新鮮な気持ちでソロ活動、Seven Saturdays に専念するようになった。新しく作り出された広大な器楽曲シンフォニーは Angles Drake の COLDPLAY の様なロックとはかけ離れた作品に仕上がった。当然ながら、この大きな方向転換には彼自身も自信が無かった。
『このプロジェクトの方向性が見えてきた時に彼女にデモを聞いてもらい、ローズ・ピアノとアクスティック・ドラムで形成するバンドは受け入れられるかなぁ・・・と問いかけたのを覚えている。二人とも独善的な失敗作になるだろうと思ってた。』しかし失敗作どころか Seven Saturdays の飛躍でハスケルに注目が集まった。Stereogum や Drowned in Sound などの発信サイトでも勢いのある感情的な音と評価され、彼自身でプロデュースしたデビューEPはフランスの Air や、アンビエントな Brian Eno 等と比較された。
これがハスケルが必要としていた自信へと繋がった。『このような評価を頂き、何年もかけて培ってきた努力が立証された気分になった。全然周りの評価が気にならなっかったと言ったら嘘ですから。』と語る。『良い評価は何時間も頭に残り、そして直ぐ又ツアーのブッキング、プロモーション活動を再開する活力になる。何かしら歯車が噛み合っていると実感できる。』
True Romance
Secret Things
ハスケルは満たされる音楽を作りたい、華やかなポップを作る気はないと語る。フィルム・ノワールを思わせる音源は視覚の刺激をも求めている。『ライブではビジュアル、映像、照明全ての要素が大切になってくる』とハスケルは語る。『観客には感覚を揺さぶる経験をしてもらいたいから僕にとってこれらの要素は音楽と同じ位大切なんだ。多情な音と映像に包まれている感覚を感じてほしい。音で窒息してほしい。』
歌詞の無い作曲の窮屈さはハスケルの原点。Seven Saturdays は都会の隠遁者のための音楽の様。都心で生活できない人たちに合う音。巨大なスカイラインや密集した道路に嫌悪感を感じる音。その様な風景に囲まれハスケルは自分の周囲を理解しているようである。『ロサンゼルスは空虚の地。一度引き込まれるとぐっと掴まれて他の全ての場所や物事が大切ではなくなる。一歩外に出るのが難しくなる。でも外に出れた時は一気に開放感と平穏を感じる。でも僕はロスのミュージックシーンでの立ち位置を見つけて、状況が厳しいほど音楽に打ち込めるようになった。混乱の中で音楽を作るのが好きなんだろうね。』
一年以内にイギリスツアーを控えているハスケルは、自分が落ち着ける場所に戻れる事を楽しみにしている。スコットランドは4年ぶりだが『凄く惨めな天気』だけは鮮明に覚えていると彼は語る。『そんな天気も本当に大好きなんだ。』