Isbells

メロディでは世界は変えられないけれど、でも僕はやってみようと思う - Gaetan Vandewoude (Isbells)

BIO

西ヨーロッパ、ベルギーから「史上最強の紡ぎ系バンド」 Isbells が満を持して日本デビュー!紡いでも紡いでも 紡ぎきれない溢れる感情がここにはある。

Fugazi や Sparta に対するベルギーからの返答と称されたエモコア・バンド Soon やブルースロック・バンド Ellroy などで15年間活動してきたシンガーソングライター、ギタリスト Gaetan Vandewoude が彼自身のインスピレーションを呼びおこし内省的な独自の歌を作成するために結成したアコースティック・バンド。

自宅のスタジオで、真夜中に妻と子供が寝ている間に一人でそっと録音されたと いう本作は、アコギと彼の歌、多重録音によるコーラスを中心としたアコーステ ィックなサウンドが淡々とつづられていく。美しいメロディ、巧みな曲作り、そ してやや高音で伸びのあるヴォーカルの響きからは、とてもこれが初アルバムと は思えないほどの安定感と完成度を感じさせる。英語で歌われる歌詞には、あまり多くを語らずに心に響くフレーズが散りばめられ、それもまた音に一層の深み を与えている。たとえば、ニック・ドレイク、エリオット・スミス、ホセ・ゴン ザレス、フリート・フォクシーズ、ボン・イヴェールらの名前を引き合いに出す 人もいるかもしれない。

Gaetan Vandewoude によるスムーズなソングライティングとシルキーなファルセットを聴かせるビロードのようなヴォーカル&ハーモニー。心地よいアコースティック・ギターとミニマルなパーカッション。遠くで鳴るスチールギターやホーン。シンプルだが味わい深いアコースティック・アンサンブル。

バンドは、マーク・アイチェルやローカル・ ネイティヴス、メガファウンといったバンドの前座をつとめるようになり、そう いった地道な活動が実を結び、やがてイギリスの老舗レコード・ショップ、ラフ ・トレードが本作を「アルバム・オブ・ザ・ウィーク」に選出、さらにBBC1のラ ジオDJ、ゼイン・ロウが「フリート・フォクシーズやボン・イヴェールが好きだ ったら、きっと彼らに夢中になるはずだ」と発言。先日イギリスでもライヴをお こなったという。徐々にだけれど、彼らの音楽の魅力がベルギーから外の世界へ と広がっている。そんな気配が感じられる。そして、ここ日本でも。

かつてほどCDが売れなくなり、大手レコード・ストアが次々と閉鎖し、音楽産業 が徐々に衰えているようにも思われる昨今、ただ流行に沿っただけのものではなく、「ミュージシャン」という職業の重要な役割である「いい音楽を作る」とい う本質的な部分が改めて求められているような気がしてならない。そして、そんな時代に敢えて他の職を辞してまで音楽家という道を選び、「メロディでは世界 は変えられないけれど、でも僕はやってみようと思う」と歌うGaeten Vandewoude という男の愚直なまでにピュアな姿に、僕は何らかの希望の光を見いだしている。極上のアコースティック・ポップをご堪能あれ。

Isbells

"Isbells"

Amazon | Moor-Shop | iTunesicon | MP3

2010.12.15 ON SALE

01. As Long As It Takes

02. Without A Doubt

03. Reunite

04. Maybe

05. Dreamer

06. Time's Ticking

07. I'm Coming Home

08. My Apologies

09. B.B. Chevelle

10 The Night is Yours Pieter
(Bonus Track)* Japan Only

PHOTO

Isbells

Isbells

Isbells

Isbells

STORY

アルバム冒頭を飾る曲「As Long As It Takes」はイントロの美しいコーラスから 多くの人々の心をとらえることだろう。一方で「僕たちはずっと(as long as it takes) 鎖につながれていなければならない」という厳しい歌詞がその美しさに説得力を 与えている。続く「Without A Doubt」では対照的に、「メロディでは世界は変えられないけれど、でも僕はやってみようと思う」というささやかな希望が歌われ る。これは「歌」の力を信じているからこそ生まれてくる言葉だ。「Reunite」は スウェーデンのSSW、ホセ・ゴンザレスを思わせるアコギのフレーズのミニマルな 反復が印象的な一品。「Maybe」は町を歩いているときに通りがかった黒いドレス の女性に一目惚れした主人公が「たぶん、君は僕のものになるだろう・・・きれ いな子供をもうけて、家を建てて、犬を飼って、いろいろな場所を旅をして・・ ・」と妄想を膨らませていく歌。最後には「でも、タイミング逃しちゃったから 、そうならないだろうけどね」というオチがつく。

「Dreamer」はタイトル通り「夢を見る者」に対して希望と忠告を同時に与える歌 だ。「自分を信じられたら、物事は新しい始まりを迎えるだろう」というフレー ズは、音楽制作に人生をかけることを決意したGaetenが自らに語りかけているか のようでもある。「Time's Ticking」では「時間が迫っている/もう僕は君のこ とが必要じゃない」と、冷酷なまでにきっぱりと「別れ」が歌われている。サビ での嘆きのような高音コーラスがその悲しみに拍車をかける。

一転して「I'm Coming Home 」は「10年の時を経て、僕は家と呼べる場所に帰ってきた」と歌う、自分の故郷 に捧げたと思わしき暖かな曲調。喜びと安堵の気持ちが曲に込められているかの ようだ。「My Apologies」ではタイトル通り「僕の言ったこと、したことすべて を許してほしい」という、謝罪の心が素直に吐露される。ここにエリオット・ス ミスの赤裸々な歌世界が透けて見える人もいるはず。後半に登場するホーン・ア レンジが曲にさりげない膨らみを与えている。オリジナル・アルバムの最後を飾 る「BB Chevelle」では、ほぼアコギのみによるシンプルなアレンジの中で「BB Chevelle 、君は誰?/僕は自分だけでは立ち直れないよ/このトラブルを乗り越えるには 君が必要なんだ」と歌われる。最後に、日本盤のボーナス・トラックとなる「The Night Is Yours Pieter 」はサビにおける高揚感と解放感がすばらしく、アルバム本編に入っていてもお かしくない完成度を誇っている。

VIDEO